ここでは、小鉢から本鉢に移植された朝顔をどうやって栽培していくか説明して行きます。
潅水について
小鉢から本鉢に移植して間がない時には根がまだ小鉢の部分にしかありませんので、小鉢の部分が乾いてきたら小鉢の部分に
潅水します。しかし、まだ本鉢にいっぱいになるように根を張らせる為に、必要最低限の潅水量だけを与えるようにします。
はじめのうちは小鉢時代と同じ量で結構かと思いますが、本植後の時期に晴天になりますと、日差しが強い為に苗が水分を
取り入れる前に蒸発してしまう場合があります。ですから日に何度か潅水を行わないとならない場合があり、この時期の潅水の
難しさがここにある訳ですが、天気予報などを利用して、多めに与えたり控えたりと考える点では面白くもあり辛いところでも
あります。
苗が育っていきますと葉からの蒸散も早くなりますので、本葉が10枚くらいになりましたら1回に与える水の量も増やして
与えます。それでも、梅雨明け後の快晴、猛暑の中では鉢の温度が非常に高くなりますので、一度の潅水では足りなくなる
はずですから定期的に観察して潅水をしますが、蔓が行灯の先端にまで達していない成長期には、夕方までには表土が乾く
ような心掛けで潅水します。
いよいよ蔓が行灯の頂上にまで達し蔓止めを行いましたらもう徒長の心配もなくなります。こうなりましたら、今度は控えて
育てていたのとは逆に潅水を沢山行います。今まで沢山の肥料を苗に与えていたものを潅水を沢山する事で肥料を抜きたいのです。
何故?肥料を抜くかと言えば、肥料が強く苗に残っていると花が縮れたり切れたりするからなのです。ですから肥料抜きの為に
沢山の水を与えるわけです。しかしこれは理想論でして、なかなかこうはいかないと思います。もし肥料不足を感じましたら
水ではなく液肥で追い込みをしなければなりません。
肥料について
本植直後の肥料は与えませんが、3〜4日後くらいから肥料不足の場合には液肥を与えます。肥料の効き具合は葉の表面などを
見る事で判る場合があります。葉の表面に「打ち込み」と呼ばれるものが出ている場合には肥料が効いている目安です。「打ち込み」
とは葉に厚みがあり、デコボコとした感じが出てきている状態で、葉の中に空気が入ったような感じにも見えます。こういう場合には
肥料が効いているなと感じます。こういう場合には、これ以上の肥料は強過ぎますので水のみを与えるようにして観察します。
小鉢から本鉢に移植してからしばらくは燐酸分が多い液体肥料を与えて、蕾付きを良くするように心掛けます。行灯の一番上の段に
蔓が伸びる頃になると下段から中段の蕾は固まりますので、蕾を大きくする為に窒素分を多めに割合を変化させていきますが、急に
窒素分を濃くしますと蕾がとぶ可能性もありますので気をつけながら与えてください。 一番上の段にまで蔓が達したならば蔓止め
を行いますので徒長の心配もなくなります。これからは開花を待つのみなのですが開花の時期に肥料分が多く残っておりますと、
花が切れてしまったり縮れてしまう事がありますので多量の潅水をして肥料分を流すようにします。蔓止めをしているので今まで
と違い、徒長の心配もないので多量の潅水でも大丈夫です。しかし、咲いている花などをよく観察し肥料不足を感じるようでしたら
蔓止め後でも肥料を与えて追い込みにかかります。
蔓の整理について 私は本蔓を伸ばして栽培する「本蔓仕立て」を基本に行っておりますので、本蔓仕立てについて説明します。本蔓仕立ては本蔓を そのまま伸ばして行灯に誘引していく栽培方法なのですが、本植後に双葉や本葉1〜2枚目の脇から出てくる芽を取り去りつつ、 本葉3〜5枚目の脇から出てくる脇芽はそのまま伸ばして栽培いたします。6枚目以降から出てくる脇芽は見つけ次第取り去るように します。なぜ、本蔓仕立なのに3〜5枚目の脇芽を伸ばしていくのかと言うと、本蔓が行灯の上段に達する前に芽止まりして しまった時のスペアとして取って置くという事と、肥料分を分散させる事によって肥料当たりを軽減させるという意味合いもあります。
本蔓が成長し、下段から中段に差しかかった頃から3本ある子蔓のうち1本を切り取るわけですが、一気に切り捨てるのではなく、
先端を切ってから毎日1〜2枚の葉を少しづつ切り詰めていきます。何故少しづつ切り込むのかといいますと、一気に切り込んで
しまいますと急に残された蔓の先端に養分がきてしまい芽止まりを起こす可能性があるからなのです。本蔓がさらに成長したら
残りの2本についても同様に少しづつ切り詰めていき最終的に本蔓1本にする訳です。
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蔓の誘引について
蔓の誘引方法についてですが、行灯の場合丸い輪が下段、中段、上段となっています。まず、下段の輪に誘引する為に蔓が届きやすい
支柱を選んで登らせて行きます。朝顔は蔓性の植物ですから支柱に巻きつきながら登っていきますが。余り無理をしないで登らせます。
下段に蔓が達したら輪の2/3に巻きつけせてから中段に登り、また中段の2/3を巻きつけせて上段に上がります。上段の輪に達した
ところで摘芯し、上段の輪には蔓を巻きつかせません。(図を参照)
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開花について
順調に行きますと初花は7月10日前後になると思います。はじめのうちは小さ目の花が咲きますが、蔓の先端に近くなるにつれて
大きくなっていきますので良く観察してください。また、咲いた花を良く見て肥料の効き具合を確認してください。花が切れたり
縮れている場合には肥料が効きすぎているので、肥料を与える事を避けて水のみの潅水で肥料分を抜くようにします。逆に、素直に
咲いている場合には少し肥料を与えますが、今までに肥料分がかなり入っていますので、薄めの肥料を与えてさらに大きく咲くように
期待します。花を見ましたらあまり長い時間咲かせておくのは苗にとって良くありませんので、早めに花柄より切り取ります。 7月下旬になりますと本蔓も行灯の上段に差し掛かります。上段に蔓が来ましたら摘芯しますので、芽先に養分が来ていた物が苗全体に 効いてきますので肥料の効き具合を良く観察しつつ、効きすぎている場合には表土が乾いたら1回につき200ccほどの潅水をして あげます。開花期の朝顔には沢山の水を与えてください。
開花後は
本蔓で仕立てた朝顔の全部の花が咲き終わっても後から出てくる芽を伸ばす事によって花を楽しむ事が出来ます。蔓の切り返しは、
行灯の下段から中段の間に出てくる芽を伸ばせれば花数も多く楽しめます。その際は、本蔓を行灯から丁寧にはずし、毎日少しづつ
切り込んでいき、新しい芽が出ている所まで切り込みつつも新しい蔓を行灯に絡ませて行けばいい訳です。この時も、余分な脇芽
という物をすべて取り去るようにしてください。また、当然肥料不足になるはずですので追肥を行ってください。
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